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Tyshawn Jones (タイショーン・ジョーンズ) | New York Creator Interview | THISTIME magazine | G-SHOCK 腕時計

Creator Interview

Tyshawn Jones

タイショーン・ジョーンズ

King Behind The Scene

境界なき王者

「King of New York」。人は彼のことをこう呼ぶ。
ニューヨークにおけるハードコアなスポットを攻略し、
最も影響力のあるスケートボーダーに贈られる
スケーターオブザイヤーを2度も受賞。
今ではラグジュアリーブランドのモデルさえも務める、
まさにスケートシーンの王。
タイショーン・ジョーンズが手がけるブランド
“Hardies Hardware”と
G-SHOCKによるコラボレーションを経て、
今彼が運営しているスケートパークに行った。

Tyshawn Jones

Interview

Hardies Land という新たな拠点

「ニュージャージーに作ったHardiesのスケートパークで撮影をしよう」。そのメッセージを頼りに、取材班が滞在していたマンハッタンのソーホー地区から車で1時間ほど走った先の静かな町に、その場所はひっそりと存在していた。工業倉庫のような外観の建物に足を踏み入れると、まだ完成途中だというアスファルトの床は想像以上に滑らかで、白い粉塵の匂いがかすかに漂う。点在するセクションには、施工途中を示すラインが薄く残り、これから無数のトリックの軌跡が刻まれていくであろう予感だけが満ちていた。
「ここは“Hardies Land”って呼ぶつもりなんだ」。
ニューヨークを拠点に活躍し、スケートボードとファッションの両領域で存在感を放つタイショーンが、新たな拠点として構想している空間だ。
ブロンクスで生まれ育った彼にとって、ニューヨークの街は単なる出身地以上の意味を持つ。「100パーセント影響してる。ニューヨークで育ったことが、自分のスケートの形を作った」。そう断言する言葉には迷いがない。予測不能で、日々表情を変える都市の空気。その不確実性こそが、彼のスタイルの核となっている。「ニューヨークは何が起きるか分からない場所。同じように、自分のスケートも予測できない。その日によって滑るものも変わるし、気分で決まる」。
もし別の都市で育っていたら、今のスタイルは存在していたのだろうか。そう問いかけると、彼は少しだけ間を置き、「分からない」と言う。「でもニューヨークに住んでなかったら、そもそもスケートボードを始めてなかったかもしれない」。この街が彼の原点であり続けていることは明らかだ。

スタジオでインタビューを受けるStéphane Manel
作品を見直すStéphane Manel

スケートボードで大事なのは
美しさかリスクか

タイショーンの数々の功績でも、数多くの人々の記憶に残っているのは、駅のホームから線路をキックフリップで飛び越えることに成功した瞬間を切り撮った2022年のスラッシャーマガジンのカバーを飾った1枚だろう。彼がトリックを選ぶ際に重視するのは美しさか、リスクか。「間違いなくリスク」。即答だった。「できるだけ難しいことをやりたい。難しいトリックの方がリスペクトされるから」。ただし、そのリスクを乗り越えた瞬間にこそ美しさが生まれるとも語る。「成功したとき、それ自体が美しくなるんだ」。
自身のスケートライディングを一言で表すなら何だと思うかを聞く。すると、一拍おいて、「Raw」とだけ呟いた。コンテスト仕様の計算された滑りではなく、ストリートから立ち上がる直感的なアプローチ。「滑りながら思いつくことが多いし、あまりテクニカルに考えすぎない」。だからこそ彼のビデオパートには、その場の空気ごと封じ込めたような生々しさが宿るのではないだろうか。

完成を目指すこの倉庫も、彼の人生を構成する要素をすべて詰め込む場所になるという。「スケートもできるし、ミーティングもできる。写真も撮れるし、ただ遊ぶこともできる。自分の人生のエコシステムを一つにまとめた空間だね」。友人やスケーターたちが自然と集まり、思い出が蓄積していく拠点。それがHardies Landの構想だ。
実際、この場所を選ぶまでには3年以上の時間がかかった。「こういう広い商業物件ってなかなか無いんだ。スケートパークを作るには開けた空間が必要で、環境も重要だから」。ニューヨークに住む彼にとって距離的にも現実的で、静かな町の雰囲気も理想に近かったという。「完璧に条件が合った」。

スケートボードと
ファッションの関係性

Hardiesの活動を通して、彼はファッションとも密接に関わってきた。ハイブランドやスポーツブランドとの協働も記憶に新しい。スケートとファッションの関係について尋ねると、「お互いに影響し合ってる」と穏やかに答える。「今では、大きなブランドがスケートにインスパイアされた服を作っている。逆に自分がデザインするときはファッションブランドも参考にする。もう両方が自然に混ざってる感じだね」。

デザインアイデアをスケッチするStéphane Manel
スタジオでインタビューを受けるStéphane Manel
作品を見直すStéphane Manel

最初に始めた理由を忘れないこと

最近話題を呼んだG-SHOCKとのコラボレーションも、彼の個人的な記憶と強く結びついている。「子どもの頃から欲しかったけど買えなかったんだ」。ショップに並ぶG-SHOCKを眺めていた当時の記憶が、今回のプロジェクトを“フルサークル”な出来事にした。「たくさんリサーチして、過去のコラボの色も見た。でも特定のインスピレーションがあったわけじゃなくて、ただ今はブラウンが好きなんだ」。自ら描いたデザインが形になり、瞬く間に完売したことについても「みんなが気に入ってくれて嬉しい」と素直に語る。
ブランドと協働するうえでの姿勢は明確だ。「やりたくないことはやらない。お互いが納得してることが大事」。一方だけが利益を得る関係ではなく、双方に意味があることが前提になる。「ただやるためだけのコラボはしたくない。そこに理由がないと」。
成功の規模が大きくなるほど、ストリートから離れてしまう危険もある。しかし彼は、そのバランスについても揺るがない。「最初に始めた理由を忘れないこと」。自分が持つすべてのチャンスは、スケートボードが生み出したものだと理解しているからだ。「人が自分に興味を持ってくれるのは、スケートでのインパクトがあるから。だから滑り続けていれば、また新しい機会もやってくる」。

倉庫の奥では、まだ未完成のランプが静かに佇んでいた。夏までの完成を目指しているという。「音楽スタジオも作る予定だし、上階からパークを見下ろせるロフトも設ける」。訪れる人々が自由に行き来し、スケートだけでなく様々な表現が交差する場になるだろう。
最後に今後の目標を尋ねると、彼はシンプルに答えた。「まずはこの倉庫を完成させること。それから新しいビデオパートを作りたいし、健康でスケートを続けていきたい」。
静かな町に佇むこの巨大な空間は、まだ余白を多く残している。しかしその余白は、これから彼が刻んでいく軌跡を待っているかのようだった。ニューヨークの不確実性を内包した“Raw”なスケートが、この場所でどのような新しい物語を生むのか。Hardies Landは、まさにその始まりの地点にある。

制作道具を持つスタジオ内のStéphane Manel

Profile.

タイショーン・ジョーンズ/Tyshawn Jones

ニューヨーク出身のプロスケーター。ストリート由来のラフで力強いスタイルで注目を集め、数々のビデオパートでシーンを刷新してきた。Hardiesのクリエイティブを主導するほか、Louis VuittonやAdidasなどファッション領域でも活躍。スケートを軸にカルチャー横断的な影響力を持つ存在。

Instagram. @tyshawn

Photography.  Koki Sato
Interview.  Shimpei Nakagawa
Edit & Text.  Takayasu Yamada_THOUSAND

制作道具を持つスタジオ内のStéphane Manel
 THISTIME magazine

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