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BOUNTY HUNTER岩永ヒカルと巡る、“G-SHOCKと原宿”の“90年代と今”

G-SHOCKが渋谷で大ブームとなったのが90年代。その同時期に原宿で“裏原カルチャー“を作り上げたオリジネーターたちは、当時と現代のG-SHOCKをどう見ているのか? ここでは、バウンティーハンターの岩永ヒカル氏を招いて、あっちこっち脱線しながら忖度なしのお話を聞いた!

BOUNTY HUNTERとは?

パンク・ロックDJの岩永ヒカル氏と相棒のTAKA氏が1995年の5月5日に原宿でスタート。当初は、US トイを扱うショップだったが、オリジナルのトイやアパレルの展開も始め、通称“裏原”と呼ばれ社会現象ともなった原宿のストリートシーンを牽引した立役者。現在も、オリジナルトイの制作やSupremeをはじめとする人気ブランドとのコラボレートで話題を生み出し続ける。2人の一切ブレることのないマインドで歩み続けたバウンティーハンターは、来年30周年を迎える!

G-SHOCKとTシャツの類似性!?

ーーヒカルさんが時計をつける習慣が始まった時のお話から教えてください。

ヒカル:小学生の頃にL.L.BEANやコンバットマガジンを読んでて、G-SHOCKではなかったけど、ダイバーズウォッチの存在を知ったんです。時計って水に濡れたらいけないものだって教えられてたのに“水の中に入れても大丈夫なの?”って衝撃で。あと、ミッキーのデザインされた時計もつけてました。

ーーその頃からオシャレに気を使っていたんですね!

ヒカル:ファッションや機能云々もあるけど、単純に早く大人の仲間入りをしたかったから(笑)。中学に入ると、なぜだかうちの地元だと、ヤンキーは安くて小さい女性用の時計を右手(利き手の方)につける習慣があったんです。

ーー普通は利き手とは逆につけるのが一般的ですもんね

ヒカル:その時からずっと、こっちにつけるようになって今に至ってます。

ーーG-SHOCKとの出会いはいつ頃ですか?

ヒカル:(ナイキ エア)ジョーダン6が発売された時だから91年。丁度、着ている服が東京セックス・ピストルズ(※)からアメリカの方に変わり出した頃です。
※UNDERCOVERのデザイナー、高橋盾氏らと組んでいたバンド。

ーー年代をアパレルの発売年で覚えているところが、いかにもヒカルさんらしいですね(笑)。

ヒカル:俺たちはこれが一番覚えやすい(笑)。

ーーその時はどういった着こなしだったんですか?

ヒカル:半パンにジョーダン6、そこにデッド・ケネディーズのTシャツを合わせてました。ジョーダン6とデッド・ケネディーズは黒に赤の配色だったから、時計もそういった色味のものを探してた時に黒に少し赤が入ったG-SHOCKを見つけて、そこから合わせるようになったんです。

ーーしばらくはそのモデルを愛用されていたんですか?

ヒカル:いつも着たい服が黒赤って訳ではないから、徐々に“やっぱり全黒がいいな”って思うようになって、G-SHOCKの赤文字の部分を針で一生懸命剥がして全黒にして使ってました。

ーーそれは私たちも初めて聞いたカスタム方法です(笑)。色合わせに並外れたこだわりのあるヒカルさんならではのエピソードですね。他に愛用されていたモデルってありますか?

ヒカル:昔も今も基本的には黒にしか惹かれません。ただ、クリアのイルクジが出た時は、流石に俺も“うわっ、ヤバいのが出たっ”ってアガってね。やっぱり男の子って、クリアとかグロウ・イン・ザ・ダークものに弱い傾向がありますよね。

ーー聞くところによると、この当時G-SHOCKに変わったアレンジを加えて愛用されていたとか。

ヒカル:
ダイバーズウオッチって時計に傷をつけない目的でシリコンゴム製のプロテクターをつけたりするんです。あれがカッコよくてプロテクターを探したんだけど売ってなくて。

ーープロテクター単体での販売は行ってませんもんね。

ヒカル:その頃、手首につけるラバーバンドを持ってて、それをクルッと捻ってXにしてG-SHOCKにつけるとピッタリハマったので、そういったアレンジで愛用してました。

ーー当時のファッション雑誌で見たことがあります!そういったアイディアから生まれたものだったんですね。

ヒカル:例えば、レンジャーズのユニフォームを着てる時は、ラバーの色を変えてトリコロールのカラーにするとか、色々と工夫して楽しんでました。

ーーG-SHOCKといえば、全米で放映されたアイスホッケーのテレビCMが話題となり、逆輸入という形で日本でも認知されるようになりました。90年代後半に日本でも大ブームになったんですが、当時、渋谷原宿界隈にいらっしゃったヒカルさんから見たシーンは、どういったムードだったんですか?

ヒカル:確かに流行ってた! でも俺は流行ると興味が薄れていく性格なので、徐々にフェードアウトしていった記憶があります。個人的にはSTUSSYのイメージが強いです。

ーーSTUSSY×G-SHOCKのコラボレートモデルですよね。

ヒカル:“えっ、こんな大きな会社とストリートブランドがコラボできんの? 羨ましい”って。“ウチもコラボしたいな、俺ならこういったデザインにするけどな”なんて考えてましたよ。

ーーSTUSSYとの1stコラボレーションは97年だと思います。懐かしい!

ヒカル:こういったコラボこそがG-SHOCKなんじゃないかな。だって、それまでの時計でオシャレな時計というか、ファッションと融合してるブランドってあまりなかったイメージ。あくまでも、時計は時計だったのが、ファッションと深くリンクする時計ブランドが増えてきた。その最初がG-SHOCKだった気がします。

ーーG-SHOCKは、まさにそういったカルチャーとのリンクで、世界に認知され成長し続けてきました。

ヒカル:他にも色々とコラボしてますもんね。

ーーカルチャーと深くリンクするという意味で、音楽&映画のシーンで“あの人がこれをつけていてカッコよかった”など、ヒカルさんだからこそ知る、印象深いストーリーってありますか?

ヒカル:G-SHOCKに関してはないかも。“あの映画の誰々がつけててカッコよかった”とかじゃなくて、“誰にでも合う”ってところがG-SHOCKのすごいところなのかも。

ーーそれは嬉しいご意見です。

ヒカル:最近は高いモデルもあるみたいだけど、基本的にはそんなに高くなくてポップな値段。ファッション的というか、Tシャツじゃないけど何個か持っていて、その日の気分で付け替えられる値段なのがいい。その辺りもストリートファッションとリンクしてる気がします。

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Xにまつわるストリートのお話

ーー続いては、最近のG-SHOCK事情についてお聞きしたいです。今日はホッケーシャツを着用されています。ヒカルさんのことなので、あのCMをイメージしてくださったんですよね?

ヒカル:いや、全然違う(笑)。これにはまたいろんな意味があって、俺の中で、ホッケーシャツにはG-SHOCKでしょ!って感覚がある。でも、その話をすると長くなるので今日はやめておきます。最近は、こういった90年代に着てた格好が、また自分の中で戻ってきていて。そのタイミングで今回の話をもらったのですごく時期が良かった。

ーー最近のG-SHOCK、どうですか?

ヒカル:愛用してるのが、まずはこれ。最近は全黒がリリースされてるんですよね。そんなモデル、俺が惹かれないわけがない(笑)。

ーーもう、針で剥がさなくてもいいモデルですね(笑)。隣のものはミッキーですか?

ヒカル:ジャム(ホームメイド)とディズニーとのトリプルコラボです。やっぱり子供の頃にミッキーの時計を持っていたってこともあるので、こういったデザインは今でも惹かれてしまいます。

ーーこれ以外にも気になるモデルがあると。

ヒカル:ブーム再燃の気持ちがカシオさんに通じたのか、気分にピッタリなの2個も出ててビックリ!

ーーどのあたりがヒカルさんのお目に叶ったんでしょう?

ヒカル:まずこっちは、サイズ感。通常のモデルもいいんだけど、できればもう少し小ぶりで細い感じのが欲しいなってずっと思ってたんです。若い頃はサイズ感重視でBaby-Gをつけてたこともあるくらいですから。

ーーこれは小型化だけでなくて軽量化もされてるので、今まで以上にストレスなくお使いいただけると思います。

ヒカル:確かに軽い! あと、デザインも今までのG-SHOCKにはない雰囲気ですごく新鮮!

ーーそれではもうひとつのアイテムのリコメンドをお願いします。

ヒカル:これはXのデザインが文句なしに最高。

ーー先ほど、“若い頃は黒のラバーバンドをクルッと捻ってXにしてG-SHOCKにつけていた!” とおっしゃってましたが、ヒカルさんは、昔からXのデザインに非常に食いつきますよね。その理由がいかにもストリートマインドで素敵だと感じます。知らない方のために教えていただけますか。

ヒカル:80年代のアメリカのハードコアシーンにストレート・エッジという思想があります。簡単に説明すると、お酒を飲まない、ドラッグをやらない、タバコを吸わない、快楽目的のSEXもしないという考え方。昔、未成年がクラブに入るために、クラブ側が未成年の手の甲に“アルコールを出さない”という意味でXとバツ印を書いたことがルーツで、ストレート・エッジ思想を持つ人が自分で手の甲にXを書いていました。
その後、80年代後半に某時計メーカーからXデザインの時計がリリースされて、ストレート・エッジの人が着けていたっていうストーリーがあるんですが、そういった点でもXに凄く惹かれるんですよね。

ーー私たちにとってのXはデザインとしてのひとつの要素ですが、ストリートカルチャーに精通するヒカルさんならではの着眼点で非常に面白いです。

ヒカル:Xの目立たなさ加減や針が白になった色味とか、全部が丁度いいい。友達に“これ、よく見てみ? Xなんだよ”って自慢したくなるデザイン(笑)。

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実は一番タフなのはヒカルさん?

ーー現代はスマートフォーンがあれば、なんでも事足りる時代になりました。それでも未だに腕時計は日常生活に必要不可欠なツールとして存在価値を示しています。現在のヒカルさんにとって、腕時計はどういった存在でしょうか?

ヒカル:時計と指輪はずっとつけてるから、ないと落ち着きません。それに、時代的に時計をつけない人が増えたって聞くと、俺の場合はますますつけたくなる!

ーーヒカルさんの周りの方の時計事情はどうでしょう?

ヒカル:周りは高級時計とかスマートウォッチをつける人が増えてきましたね。だからこそ、俺はG-SHOCKをつけたくなる!

ーー確かに最近、そういったご意見を聞くことが増えてきました。

ヒカル:若い子達の間でレコードが流行ってるのと似た感じで、こういったクラシックとして受け継がれているものが、新鮮に見えて惹かれる子が増えてくるんじゃないかな。なんか、またグッと流行る気がします。

ーーG-SHOCKは常に進化をしていて、90年代当時のアイコニックなデザインを継承しつつも、先ほどお話しした軽量化やその他機能性など、さまざまな要素がアップデートされています。

ヒカル:それはそれで、必要な人もいるだろうし良いことだと思う。だけど、俺みたいに未だにガラケー使ってて、携帯は通話さえできれば良いって人もきっといるはず。こんなこと言うと、カシオさんに怒られちゃうかもだけど、時計だけチェックできるモデルがあっても良いと思う。だってこんなにカッコいいデザインなんだからさ!

ーーそういったご意見があること、カシオ社内に報告させていただきます(笑)。

ヒカル:今ふと気になった質問していい? 今更だけど、カシオってそもそもどういった意味なんですか?

ーー樫尾四兄弟によってカシオ計算機株式会社が誕生したからです!

ヒカル:えっ、まじで? スッゲーーーーーーー。こんなに長い間G-SHOCKを使ってたのに初めて知った情報。

ーーそれでは、こちらからもひとつ気になる質問をしてもいいですか。失礼ですが、ヒカルさんは現在、何歳になられたんですか? 書かないので教えてもらえますか。

ヒカル:書いてもいいですよ。68年生まれの56!

ーー若っ!

ヒカル:一昨年、五十肩になってヤバッかったんです。けど、好きなパンクバンドのライブに行ってあまりにも嬉しすぎて“うぉーーー”って手をあげて楽しんでたら治った!

ーー今もブルックリン(マシーンワークス)の自転車で毎日原宿をパトロールされているヒカルさんが一番タフなのかもしれませんね。G-SHOCKは今年で41歳。これからも、ヒカルさんのようにタフネスに歩んでいきたいです。今日はありがとうございました。

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