連載Vo.1:同じ時間を歩むG-SHOCKが見たアスリートのターニングポイント!
「骨は折れても心は折れない! 」中村輪夢 編

強さを求めて世界のトップレベルで活躍するアスリートには、誰かに伝えたくなるとっておきのドラマがある!
あの歴史的快挙、涙の裏に隠された真実、人生が大きく変わった瞬間 etc
この連載では、TEAM G-SHOCKのアスリートに自身のターニングポイントとなった出来事を語ってもらい、ここ一番の大舞台で襲いかかる緊張、挫折や苦難をどう“タフネスマインド”で乗り切って今に至るのかを訊ねた!
あなたの人生における分岐点を乗り越えるヒントが見つかるかもしれません。
インタビュアーは彼の一番身近で最も長い時間を共有したDW-5600E-1
飽くなき強さを求めて進化を続けるタフネスウオッチG-SHOCKの定番スクエアタイプ。初代DW-5000のDNAを引き継いだ5600シリーズの基本モデルで、1997年のリリース以来、多くのファンの心を掴んできた不朽の名作。
もっと詳しく知りたい方はG-SHOCKの【ブランド•ヒストリー】をチェック
TURNING POINT 1 -G-SHOCK REAL TOUGHNESS 2016-
「一人目と二人目では全然違う。第一人者になりたい」
DW-5600E-1 :最初に出会ったのは、輪夢がまだ小学3年生の時だったよね。2011年に初めて開催されたG-SHOCK REAL TOUGHNESSを見にきた時だから、僕たちの関係は随分と長いね。
中村輪夢(以下:輪夢):そうですね。京都の先輩ライダーが出るってことで「いつか僕もこういった大会に出てみたい!」ってワクワクしながら会場にいったのを覚えてます。その時からDW-5600E-1 をつけてるから、めっちゃ長いお付き合いですね。今日は宜しくお願いします。

DW-5600E-1 :今日の待ち合わせ場所を六本木に指定させてもらったのは、初めて出会った場所ってことでもあるんだ。
輪夢:あの時のG-SHOCK REAL TOUGHNESSは六本木でしたもんね! 懐かしい。

DW-5600E-1 :やっと、夜風が気持ちいい季節になったし、少し歩きながら話をしよう!
輪夢:はい。
DW-5600E-1 :輪夢にとってのターニングポイントを色々と聞いていくね。まずは、そんな初めての出会いから成人(18歳)するまでの間で大きな分岐点っていつ?
輪夢:18歳までか……。でも、それこそ、2016年のG-SHOCK REAL TOUGHNESSかな。「これからプロとしてやっていく」って決めた日でもあるので。
DW-5600E-1 :2016年の優勝した瞬間ね。それまでも、キッズライダーとして様々な大会で結果を残してたけど、世界のトップライダーが集結する大会で優勝したのはかなりすごい出来事だった。まだ中学3年生だったもんね。
輪夢:そうです。Oakleyはその少し前からサポートをしてもらってたけど、この日の夜にG-SHOCKとRed Bullからライダー契約のお話をいただいて、今の自分というかプロのライダーとしてやっていく決意をした瞬間ですから。ついに僕も夢にまでみたプロライダーとしてのスタートが切れた日です。

DW-5600E-1 :あの日の会場はものすごい人で活気があったわけだけど、まだ14歳の子があの大観衆の前で物怖じせずにプレイしていて驚いたよ。本当に心から楽しそうにライディングしてたのが印象に残ってるな。
輪夢:緊張なんてしなかったですね。G-SHOCK REAL TOUGHNESSに出れてることの方が嬉しかったので!
DW-5600E-1 :大会の後日、原宿のイベントに京都から一人で行ったじゃん? 「なんて行動力のある14歳なんだ」って驚いた。しかも、会場には有名人とかもいたけど、堂々としていた。ライディングもそうなんだけど、そういった点もすごいというか「こいつ、絶対に将来大物になるな」って感じてた。
輪夢:そんな風に見てくれてたんですね。
DW-5600E-1 :当時の日本では、まだBMXだけで生活できるってライダーがいなかったでしょ。輪夢は間違いなくその第一人者。未開拓の道を歩む不安とかはなかった?
輪夢:もちろんあったけど、まだ中学生やから、不安よりも未来を見据えた喜びというか、興奮しかなかったかな。今と違って、あの時は背中を追う立場。それにみんな「この子にはまだ無理矢理やろ」って思ってたやろうから、そういった状況で結果を出す人間こそ一番かっこいいヤツって思うタイプなんで「ヨッシャ、やったるわ!」って気持ちでしたね。

DW-5600E-1 :その気持ちは、その後の結果にも表れているよね。FISE HIROSHIMA2019で日本人初の表彰台に登って、X Games Men's BMX Park 2019ではシルバーメダル獲得。凄まじい活躍で順風満帆のプロライダー人生を歩んでいたもんね。
輪夢:はい。もうあの頃は、ナカムラリム・ゼッコウチョウ! の時期でした(笑)。
DW-5600E-1 :ではズバリ聞きます。この時期の中村輪夢の“タフネス・マインド”とは?
輪夢:誰も成し遂げていないことを自分が達成するっていう強い気持ちですかね。やっぱり、一人目と二人目とでは全然違う。一人目になりたいっていう強い気持ちが、その当時の自分を支えてたのかな。
中村輪夢着用アイテムは【こちら】でチェック!
TURNING POINT 2 -2020年9月人生最大の大怪我-
「人間は意外と強い。骨は折れても心は折れない!」
DW-5600E-1 :それでは続いて、成人以降の話に移ります。この時期のターニングポイントとなる出来事はあった?
輪夢:18歳やったらSimple Session 2020かな?!
DW-5600E-1 :あれはすごかったね。日本人パークライダーが初めて国際大会の表彰台の頂点に立った瞬間ね。しかも、大会の日が18歳のバース・デイ! もう、優勝が決まった瞬間の会場のボルテージは最高潮だったし、俺もかなり泣けちゃった。
輪夢:「こんなに何でもかんでもうまく行って大丈夫かな?」って自分でも不安になるくらい(笑)。
DW-5600E-1 :じゃあ、この時期のターニングポイントはSimple Session 2020で決まり?
輪夢:いや……、あの大怪我かな?!
DW-5600E-1 :2020年の9月に左足かかとを粉砕骨折した大怪我ね。あれは思い出したくもない出来事……。
輪夢:今まで一回も大きな怪我をしてこなかったから「まさか僕が? しかもこのタイミングで? 嘘やろ?」って絶望のどん底でした。

DW-5600E-1 :この翌年に世界が日本に最も注目するBMXライダーとしては最高峰の晴れ舞台が待っていたからね。もう、こっちまで落ち込んでしまって、かける言葉もなかった。
輪夢:「間に合うかなー」ってずっと考えてました。
DW-5600E-1 :改めて中村辰司さん(輪夢の父親)は流石だよね。怪我の現場にいた誰もが血の気が引いて取り乱していたけど、お父さんはドシッとかまえていて「BMXなんでね。こういうこともありますよ」って。胆っ玉の座り方がすごかった。
輪夢:落ち込んでいたとは思いますよ。でも、僕たちって普通の人より怪我には抗体があるんですよ。小さい頃から大怪我をするライダーを間近で見まくってますもん(笑)。
DW-5600E-1 :お母さんも気丈に振る舞っていたし、小さい頃から家族でBMXと向き合ってきた中村ファミリーの強さと絆みたいなものを感じたよ。
輪夢:両親だけでなく周りの人たちにも助けられましたね。皆んなもショックだっただろうけど、僕にはそのそぶりを見せずに一緒に前を向いてくれてました。それは本当にありがたかったですね。だから、あれはあれで、今思えばいい経験です。
DW-5600E-1 :どん底で得たモノの方が大きかったと?
輪夢:僕は常に物事をポジティブに考えようって意識してるタイプ。だけど、それでもあの時は、悪いことばっかり考えてしまって。不安やから練習をしまくるんやけど、そういった気持ちの時はいくら練習しても無理、全然結果がついてこないんですよ。そうすると周りが見えなくなってドンドン悪い方向に進んでしまう。
DW-5600E-1 :なるほど。
輪夢:ちゃんと深呼吸して、自分を俯瞰して見ることの大切さみたいなものを勉強しました。相当、メンタルが鍛えられたと思います。

DW-5600E-1 :ズバリ、この時期の中村輪夢の“タフネス・マインド”とは?
輪夢:人間は思っている以上に強い。骨は折れても心は折れない! だから頑張ろ。って精神ですね!
中村輪夢着用アイテムは【こちら】でチェック!
TURNING POINT 3 -2022フランスW杯優勝--
「張り詰めた糸はすぐ切れる。緊張と緩和のバランスが大切!」
DW-5600E-1 :それでは、怪我から復活した後から現在までのターニングポイントについて教えて。
輪夢:メンタルが鍛えられたとはいえ、怪我以降、あまり調子が良くなくて。日本初開催のX Games Chiba 2022も思うような結果が出なかった。「こんなに練習してるし、練習では上手くいってる、新しい技もできてるのになんで結果が出ないんやろう」って悩みまくってました。

DW-5600E-1 :輪夢が挑戦し続けている場所は世界の大舞台だからね。そんなに簡単なことじゃない。この頃は表彰台が遠かったよね。
輪夢:でも、X Games Chiba 2022の翌月にフランスで行われたワールドカップで久しぶりに優勝ができたんです。これが3つ目のターニングポイント。完全に流れが変わったのが自分でもハッキリと分かりました。
DW-5600E-1 :というと?
輪夢:元々は、好きで始めたBMX。楽しいから続けてたのに「今、僕ホントに楽しめてるのか?」って、ふと自問自答したんです。うまく言語化できないですけど、フランス大会の時は、一緒に行ったライダーたちと(前日に)試合のことをあんまり考えずに楽しみながらチャリに乗って、その後は遊びにも行ったんです。さっき、G-SHOCK REAL TOUGHNESSの時は「物怖じせずに楽しそうやった」っていってくれてたけど、きっとそういった状態やったんだと思います。やっぱり気張りすぎは良くない。ある程度は肩の力を抜いてリラックスすることも大切なんやなって実感できました。
DW-5600E-1 :やっぱりそういった気持ちの変化が、先日の全日本選手権5連覇にも現れたんだね。絶好調の頃の中村輪夢ここに健在!って感じで感動したよ。ウイニングランで六甲おろしを流す余裕とかね。
輪夢:そうそう(笑)。やっぱりあれくらい余裕を持つことも必要!

DW-5600E-1 :輪夢の場合は、全日本選手権は勝って当たり前って思われているから、そこでちゃんと結果を残すのはすごいよ。ズバリ、この時期の中村輪夢の“タフネス・マインド”とは?
輪夢:緊張と緩和を覚えたことかな。糸は貼っているとプツンって切れるけど、緩みがあることで強度が高くなりますから。
DW-5600E-1 :なるほど。ありがとう! 今後の活動についても少し聞かせて。色々とキャリアについて教えてくれたけど、改めてよく考えてみると、輪夢ってまだ21歳なワケでしょ。なのに日本のBMXパークライダー界では完全にベテラン選手。
輪夢:気がついたらそうなっちゃいましたね。
DW-5600E-1 :以前「今はバックフリップをメイクするキッズライダーも出てきてる」っていっていたよね。輪夢はまだたったの21歳なのに背中を追う後輩ライダーが次から次に出てきている。
輪夢:迫られてる感じはめっちゃありますね。でも、自分もずっとそれをしてきたことなんで、なんとも思ってません。後、次世代のライダーは確かに上手いけど、「イケてるな、華あるな」って思えるライダーは今のところいないかな(厳しい言い方だけど、愛のあるメッセージとして)。だから自分が引っ張っていかなアカン!

DW-5600E-1 :いいね、その自信。かっこいい! 今後の活動で特にチェックしておくべき大会とか技ってある?
輪夢:表彰台に登った時って、まだ誰もやってない技を出した時が多いんです。なのでSNSには出してない新トリックが出るかどうか、完璧にメイクできるかどうかに注目して欲しいですね。後は、BMXの大会は1分間のエンターテインメントだと思ってます。いかに人と被らず走れるかってことを意識しているので、「おっ、なんかいつものランと違う!」ってところを感じとってもらいたいです。
DW-5600E-1 :特に注目すべき大会は?
輪夢:見て欲しい大会は色々あるけど、一番は2024年かな。2020年の大きな忘れ物を取りに行ってきます。

DW-5600E-1 :いい時も悪い時も同じ時間を共有できて嬉しいよ。これからも一緒に頑張っていこう、宜しくね!
中村輪夢着用アイテムは【こちら】でチェック!