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The Pillars of Protection

Pillars of Protection

MR-Gが目指す和の世界観と、飽くなきチャレンジ

The aesthetics of practical elegance

腕時計の印象を決める「ダイヤル」に培われた技術

 

MR-Gらしい最高の品質とデザインを実現するため、これまでさまざまなダイヤルを形にしてきました。なかでも「MRG-B2100B」に採用されたのは、日本伝統の「木組」にインスパイアされた特徴的な意匠です。長くダイヤル成形に携わり、その技術を知り尽くした部品製造技術部・成形技術課の石山憲史に、その妥協を許さないものづくりへのこだわりを聞きました。

緻密なダイヤルで表現する「和の世界観」

金物を使わず木と木を合わせる日本伝統技術「木組」に着想を得たダイヤルは、格子状の美しい幾何学模様を描き出し、和の世界観を表現しています。格子の間の穴はソーラー充電に必要な光を通す役割も持ち、繊細な外観と高い機能性の両立を実現。まさにMR-Gシリーズならではの美意識を追求したダイヤルとなっています。

山形カシオ株式会社 部品製造技術部 成形技術課

石山憲史

難関となったのは「ウェルドライン」問題。試行錯誤の末にたどり着いた新境地とは

木材同士を組み合わせることで、強度と仕上がりの美しさを表現する「木組」の伝統技術は日本古来の神社仏閣など、古くは奈良時代から受け継がれてきた技術です。今回、MR-Gのダイヤルで表現するにあたり、実現への道のりはどのようなものだったのでしょうか。

入社以来、部品製造技術部・成形技術課にて成形技術に精通するリーダーの石山氏は、最初のオーダーを受けた時点で製品化への難しさを感じたと言います。

「まずプロジェクト開始時にデザイナーから話が来たときに、この部品を作るのは難しいのではないかと思いました。とはいえもちろん、すぐに製造へのチャレンジが開発チームで始まりましたが、最初に頭をよぎったのは『ウェルドライン』の問題です」(石山)

そもそも、射出成型によって作られる部品は、シンプルな形状であっても表面に歪みが発生してしまうのが一般的です。それを山形カシオ独自の技術を用いることで美しい形状・質感を可能にしています。

多数の穴を持つ格子状の、MRG-B2100のダイヤルを作るためには、金型に樹脂を流し込みながら、表面の仕上がりを均等にする必要があります。しかし、そこで直面したのが「ウェルドライン」で、これは射出成形において金型内で溶融樹脂の合流部分が線状になることです。

穴のない形状であれば樹脂が分岐することなく一方向に流れますが、格子形状のダイヤルでは射出された樹脂が分岐と合流を繰り返します。しかし、射出された樹脂の勢いが一定でなくなり表面が凸凹になったり、ウェルドラインが発生したりするのは、最高峰の外観品質を求めるMR-Gにおいて許されません。

「開発のスタートから数カ月、寝ても覚めてもウェルドラインのことばかりを考えていました。流動解析ソフトを駆使し、溶けた樹脂が流れ込む際の入口である数十パターンのゲート設定、ランナー径の微調整を何度も何度もシミュレーションしました」(石山)

溶けた樹脂を数方向から流し込むと、それが格子の交差するポイントでぶつかり、どうしても均一に広がらない懸念があったとのこと。しかし、MR-Gにふさわしいクオリティを実現するため可能な限りのアイデアを出し尽くし、射出のタイミングなどを考慮した末に成功をつかみ取ります。

「初めて成形したときは緊張しましたし、最初はこんなの無理だと思いました。ですが、それを乗り越えるのが我々の仕事ですし、飽くなき挑戦が結実した瞬間は本当にうれしかったですね」(石山)

射出成形でダイヤルのベースを作る

ダイヤルの製造ではまず、射出成形において金型内へ溶解樹脂を流し込み、それを冷やすことでベースの形が作られます。均一で美しい形状を目指し、さまざまな試行錯誤の結果、MRG-B2100Bの「木組」ダイヤルの基礎が完成しました。

インデックス等にスパッタリングを施す

続いて別パーツとなるインデックスには「スパッタリング」と呼ばれる蒸着処理が施されます。こうした金属調の華飾を行えるのは、超精密加工技術によるものです。ナノオーダー(1/1000μm)の超精密加工で作られた金型で成形した部品をとりいれることで、MR-Gが追求する高級感を自在に表現しています。

すべてを組み合わせることで「木組」ダイヤルが完成

時計内部を露出させずに外からの光を直接取り込むことができるこのダイヤルは、難易度の高いウェルドライン問題をクリアしたことで、和の伝統技法を思わせる「用の美」を実現しています。

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